それは特権である

2人とも何を守ろうとしていたのか。それは特権である。

 シュワルツマン氏は、庶民と同じように課税されるかもしれないと憤慨した。ベンモシェ氏はAIG公的資金による救済の引き換えに、同社幹部が犠牲を払うべきでないと考えた。

 彼らは時折、自分たちがまるで「肩をすくめるアトラス」(アイン・ランド著、人民が資本家を弾圧して搾取していると糾弾する小説)の登場人物であるかのごとく話をする。社会に一番自分で浮気調査
求めるのは、たかり屋が自分たちにちょっかいを出してこないことだ、と。だが、実際には彼らは社会の99%を占める庶民から自分たちへの再分配を求めようとしているではないか。これはリバタリアニズム自由至上主義)ではなく、特別扱いの要求だ。アイン・ランドではなく、アンシャン・レジーム(旧体制)である。

 実際、0.01%の人が露骨に権利意識を表すことがある。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの副会長を務める億万長者、チャールズ・マンガー氏は、ウォール街への救済策を受けて「われわれは神に感謝すべきだ」と言った。一方、財政難にあえぐ一般の米国人については「ただがまんし、耐えるべきだ」と。ちなみにベンモシェ氏はクロアチアドブロブニクの海岸近くの別荘で受けたインタビューで定年を70歳、さらには80歳までに引き上げるべきだと表明していた。